外資系勤務の私ですが、根っこは日本の田舎育ち。人前で自慢話をしたり人前で偉そうに振る舞うのが苦手な小心者です。
そんな私は、転職の際の面接がめっちゃ苦手なようです。過去5年間でおよそ50社(!)の面接を受けてきました。最初の頃はちょっとした社会勉強でもいいや、と余裕をかまして面接していて、希望する社風と違うと感じるとお断りするという生意気な奴だった時もありましたが、後半になると焦りまくりで神経がボロボロになりました。
というわけで、みなさんにはこんな経験をして欲しくないので、自分の経験から学んだ事をシェアしたいと思います。
Contents
準備すべき情報
相手はお客様、自分は営業マンだと思って、自分という商品をデモンストレーションしましょう。
- 昨年の年収(実績給与。ベースとボーナス両方)
- 希望年収(得られるお金よりも得られる仲間が大事だと思う)
- 転職理由(何が嫌なのか、ではなく、何を得たいのか)
- なぜこの会社を選んだのか(「転職エージェントに説得されたから」と言いたい所をグッと我慢。何か適当な理由を考えておきましょう)
- 希望するキャリアパス(遠い将来の話ではなく、短期目標が良い)
- 自分の得意技(アピールする部分をデモンストレーションしてください)
- 過去の経験で最も大変だった事(つまり、どう乗り越えたかをデモンストレーションします)
- 自分が相手にとってどのように有効作用するのか(これシャイな人はなかなか言えないけど、事実を踏まえて説明すると良いです)
確認するべき事
私の場合、主に下記のような内容を確認してました。面接では何人もの面接官と会いますが、何回でも同じ内容を聞きましょう。面接担当者ごとに回答が違う場合があります。そして「前回聞いたから、今回聞く事ないや」というモチベーションだと「こいつやる気ねえな」と思われてしまいます。
どの面接官にでも「初めまして!」というスタンスで臨むのがポイント。
- オフィス住所と最寄駅(リモートワークが流行っているようで、外資系は日本市場の文化に合わせたがるので、意外と保守的なところが多いです)
- 勤務時間(フレックスタイムがあるかどうかも)
- リモートワークの可否(これ質問するだけでアウト!の会社もあるから聞き方注意)
- ドレスコード(これも聞き方注意)
- レポートライン(マネージャーが海外なのか、国内なのか。これが曖昧な会社は組織が明確に定義されていないで予算取りも大変だし、責任の所在も怪しいので要注意)
- 夜間や週末業務の義務(必須の職種でもJob Descriptionに書かない会社もある。ズルい)
- 日本オフィスの従業員数(15人とか言っておいて実際には8人だったりしますので要注意)
- 全世界での従業員数(日本で少ないだけでなく本社人数も少ない場合があります)
- 入社時トレーニングの方法や場所(外資系でも、インドなどへ海外出張するところと、国内でのEラーニングで対応するところがあります)
- エンドユーザーとのハイタッチビジネスなのか、それとも国内チャネルパートナーとのビジネスなのか(これで国内展開戦略のイメージが見えてきます)
- 大まかな給与レンジ(ボーナスレンジ含む)
- 企業型確定拠出年金の有無(年金は大事。日本では給与が高いと税金も高いのです。あと、ストックオプションで対応するところもありますが、この場合毎年自分で確定申告する羽目になります)
- 現在直面している大きな課題(これはズバリ聞きましょう)
- 社員に期待する事(どういう社風を目指しているか)
- 日々の業務(これは大事なので忘れずに。英語では「Day-to-day job」で通じます)
転職エージェント(ヘッドハンター)を利用する際の注意点
これ特に外国人のエージェントを使う場合はマジで注意してください。私はこれで相当数の面接に失敗してます。エージェントのせいにするな!という人もいると思いますし、私もそう思いたいですが、残念ながらエージェントのせいで失敗してる案件があったんです。
若いエージェントは色々間違える
年齢で人を差別するな、というのは私の持論です。でも転職の際にはぜひ差別ではなく「区別」する事をお勧めします。若いエージェントは、経験値が少ないのにあたかも全てを知っているかのような表現をしてとにかくこちらを動かそうとします。彼らは失敗を恐れません。というか、失敗から学ぼうとしているようです。
例えば、クライアント企業(求人企業)の従業員数や面接回数、そして最終面接に進んだ際に「ただのカジュアル面談だから気軽にね!」と言って実際にはガッツリ技術試験だったなんて事もあります。
どうしてこういうことが起きるかというと、若いエージェントはクライアント企業の担当者と関係が希薄な事が多いので、あまり情報を得られていません。つまりあなたの質問にも答えられないので、ふんわりと嘘を混ぜてくる事があるのです。
会社を紹介してきた際に、「ごちゃごちゃ質問しないで、直接面接行って聞いてきなさい!」と言ってくるエージェントがいます。この場合は、関係ができていないなと疑って良いと思います。
態度がでかい
彼らはクライアント企業に求職者を紹介し、転職が決定したら手数料を貰います。お金を払うのはクライアント企業なのでそちらの担当者にはめっちゃ気を使って話します。擦り潰れるくらいにゴマを擦ります。
しかし求職者側にはめっちゃ態度がでかい。
例えば自分が真剣に考えを説明すると「Job Descriptionが見たいだと?お前な、アドバイスしてやるけどそんな考え方では世の中渡っていけないぞ」的な教育的指導をしてくるエージェントがいます。当然ムカッときますよね。
そのノリで仕事中でも関係なく突然電話してきます。ランチタイムでもディナータイムでも、夜遅くても電話してきます。これでこちらがブチ切れてしまって話が消える事もありました。
エージェント会社内では情報共有されない
一度レジュメを送ると、その会社の複数のエージェントからガンガン電話がかかってくるというパターンもあります。しかも、それぞれのエージェントは情報共有していないので、何度も何度も同じ事を説明させられます。あなたが仕事中でもお構いなしです。
クライアント企業から見ると、エージェントとあなたはパートナー。
ある日突然、転職エージェントから連絡があって「あなたのプロファイルは素晴らしい。レジュメ送ってくれ」と言われたとします。
ん?お前、俺のプロファイル知ってんだろ?なんで俺のレジュメが必要なんだ?と思いますよね。
これ、実はレジュメを送ったかどうかで、あなたがエージェントとの転職支援に合意したと理解されるようです。すると、クライアント企業から見るとあなたとエージェントはタッグを組んだペアに見えます。
まともな転職エージェント(特に国内のエージェント会社)の場合、レジュメを送った後に対面面談をして、個人情報提供の同意書を書きます。
しかし、外国人のエージェントの場合、ここを省かれる事が多いです。
そしてクライアント企業とエージェント間で何か問題が発生した場合、「あなたが組んだエージェントに問題がある」と告げられ、あなたが問題解決しろと通告を受ける事も出てきます。怖いですね。なので、できれば国内のエージェントがお勧めです。
一番厄介なのが、外資系で働く日本人
さて。転職エージェントとの関係も出来、無事最終面接まで進んだとしましょう。
最終面接は多くの場合、日本法人の従業員。カントリーマネージャーや同じオフィスの同僚となる人々です。
ここが、超、超、超難関!
僕の経験上、採用担当者がアメリカやオーストリア、シンガポール、インドなどで、多くの場合一発で面接をパスします。彼らは、かなり前向きに捉えてくれます。
それでも一応、一緒のオフィスで働く仲間にも認めてもらわなければなりませんから、国内オフィスのメンバーとも面接します。
いつもここで、失敗するんです。
まさか今回も、と要注意して面接に臨んでもかなり高い確率で不合格になります。
つまり、「日本法人の従業員は、日本文化で育った日本人」。アメリカの大学は入学は簡単でも卒業が大変だと言われますが、日本の大学は逆で、入学が大変だけど卒業は簡単。その文化で育った日本人が国内のスタッフ。つまり入社に関しては外国のスタッフと比べてめちゃくちゃ保守的な人が紛れ込んでいます。
「面接なんだから、ネクタイをしてくるのは常識!」
と考える人もいれば、
「スーツやネクタイではなく、カジュアルな普段着で来てください!」
というところもあります。面接を応募しているこちらとしては、どっちのスタンスで臨んだから良いのか、さっぱりわかりません。
最終面接結果が来ない
スキル的に問題ない場合、最終面接まではサクサクと進むと思います。転職エージェントも人事部の人も、さっさと採用を完了させたいのでサクサク進ませたいわけです。
で、最終面接が終わるとどうなるか。いきなり連絡がピタリと止まります。
某転職エージェントから聞いた話ですが、最終面接後はアメリカ本社の人事部や採用部署のトップ(Vice Presidentとか)に給与面等の承認を取るため、最終面接が終わってもざっくりと1週間から2週間くらいの時間がかかります。さらに先方が休みや出張だったりする事もあるので、「最終面接後が一番心臓に悪い」と思っておきましょう。
最終面接突破!でもまだ終わってない!
おめでとう!なんて言葉をかけてもらえるとしても、ここからが戦いです。
さあ、給与はいくらになったか。福利厚生はどうなっているか。ここで得られる情報で「え?聞いてないよ〜」という事があります。
ここでの条件面で本当に良いのかどうか、数日もらって検討しましょう。OKならそれを先方に通知します。
条件面も合意した。でもまた待たされる・・・
次にはオファーレターが出てくるのを待ちます。このオファーレターで注意するのは「業務開始日」。これがオファーレターに明記されてきます。
つまり、あなたは現職をいつ辞めて、いつから次の会社で働き始めるのかをオファーレター上でコミット(宣言)しなければならないのです。
待てよ、まだ現職のマネージャーには退職希望を伝えてないぞ?という場合、ここでまたハラハラしながら現職と交渉することになります。
仮に現職が1ヶ月前の通知で退職できるはずが、溜まっている有給休暇も消化したいとなると、当然もっと長めに通知しないといけません。手に汗握る戦いがこれから始まります。
複数企業と同時に面接を進める場合
この場合、なるべく、
- 第一希望を最初に面接し、
- 滑り止めの第二希望をその後に進める
方がオススメです。
第二希望が先に決まった場合、そこを待たせながら第一希望に催促をする羽目になります。どちらの企業からも悪い印象を持たれてしまうのです。
なるべく、天秤にかけるようなやり方はせず、本命一筋で行った方がお互い精神的に楽ですよね。
転職は不合理な戦いです。
はっきり言って、このプロセスは不合理なことばかりです。
あなたの一瞬の不注意で出た発言で面接が不合格になったり、転職エージェントとの関係が悪いために大事な企業との縁が途絶えたりと、転職というのは21世紀とは思えないほど効率が悪いです。
転職をするということは現職に不満なわけなので、そんな状態で時間との戦いとなり、精神的にとても不安定になります。
できることなら、現職で良い評価をもらっていて、これ以上さらに上には行けないな、と感じたところで転職するのが良いかも。
底辺のどん底まで落ちてから転職活動をすると、ボロボロの廃人になりますのでご注意を。
外資系転職に使えるオススメサイト
・crunchbase
会社規模、投資ラウンド回数などが検索できます。
・glassdoor
海外のクチコミサイト。最近の評価傾向のトレンド(良くなっているか、悪くなっているか)も見れます。
・openwork
元々は「Vorkers」という名前でしたが変わりました。国内のサイトですが、外資系の日本法人のクチコミも数多く登録されています。